君と、世界が変わる瞬間に。
「手を伸ばしてみたらいいと思う」
「え…?」
「空にどんな過去があったかわからないけど、空が夕凪君に怒ったのは多分、空が彼を信じてないから……じゃないかなぁ?」
信じてない…?
「…まだ彼を信じられていないからこそ、彼に救いを求められない。…空は……夕凪君に裏切られるのが…怖い……?」
瑠璃はわかってる。私が裏切られることに妙に恐怖を抱いていることを。
「……ぅん」
「私はきっと、夕凪君なら空を裏切らないって思う。根拠はないけど…絶対って言える。」
「……わからないよ…そんなの」
「…わかるよ。だって、夕凪君は空のこといつも助けてくれる。よく見てる。よく話す。…他の人にも優しいけど……やっぱり空は特別な感じがする」
瑠璃は私をみてニコッも笑った。
「空も、そう思うでしょ?」
……そうかも…しれない。…夕凪君は私を助けてくれた。放課後のプリント整理の時も、球技大会の種目決めの時も、クラス内のイジメの時も、そして……今日も。
『先生は雨野さんに頼りすぎ』。見ててくれた。私の頑張りを。
『優しすぎ』。そんなことないのに、夕凪君はきっと心からそう言った。
『頼ってくれ』。なのに、なんで私は彼を信じてあげないの?……今まで助けてくれていたのに、どうして助けを求めた時にはこないって決めつけるの?
そんなの、逃げてただけだ。
全部全部嫌なことは後回しにして、気付かないふりして、ただの延長線だ。
「ねぇ空」
「…?」
「もしね、もしだよ?……空が夕凪君と居られないって思ったら私のところに来なよ。私は絶対空を裏切らない。親友だしねっ!……だからね、安心して彼の元に行っていいんだよ」
私は本当に気づかなかったんだな。……こんなにいい親友をもって、すごく恵まれた。