君と、世界が変わる瞬間に。
ーガチャー
「ただいま」
ーシーンー
カチッとリビングの電気をつける。お母さんもお父さんも帰っていないみたいだ。
いつものこと。それなのに、今日のことがあってからは少しだけ気持ちが楽になっていた。
「いただきます」
自分で作った野菜炒めを口に含む。…誰もいない部屋ではシャキシャキと野菜を噛む音だけが響いた。
「テレビでもつけようかな」
静かなこの状況にはとっくに慣れているはずなのに、今日はなんだか落ち着かない。…テレビの電源を押して、静寂だった部屋は賑やかになった。
「……ごちそうさま」
皿を重ねてから洗面台に持っていき、スポンジで洗う。…洗い終えたら、またイスに座る。私はテレビを見ながら私は別のことを考えていた。
明日、夕凪君にどう話しかけようか、どう謝ろうか、どうお礼を言えばいいか。
簡単そうですごく難しかった。
だって、いつも肝心な時には夕凪君から話しかけてくれていたら。
そう考えると、私本当に臆病者だなって思う。