君と、世界が変わる瞬間に。
「行ってきます」
微かに濡れた毛先は、雫をポタっと地面へ落とす。
私は家の鍵を閉めてからいつもより、急ぎ足で駅へむかった。
ーガタンっー
「あっ、おはよう〜委員長」
「おはよう」
靴箱でクラスの女の子とあった。
私は……雨野さんや空ちゃん、空…という呼び方の他に学級委員長ということで"委員長"と呼ばれることもある。
今では築き上げた信頼と人望を、これからも崩さないよう、そして深められるようにいつも通りに笑った。
笑顔は人からいい印象を受けるから。
ーガラー
「あ!空おっはよーん!!」
「瑠璃、おはよう!」
「……ふふっ」
急に笑った瑠璃に眉をしかめて「なに?」と聞いた。すると瑠璃はそれがおかしかったのかもっと笑い出した。
「もう、なによっ」
「へへっ。だぁって、空がいつもより友好的なんだもんっ!それに、そんな顔した空初めて見るしね。それだけ、私のこと親友っておもってくれてるってことかなぁ〜って」
「…そりゃぁ…」
私が同意すると、瑠璃はまた嬉しそうに笑った。