君と、世界が変わる瞬間に。
屋上からでて私はどこに行くとかでもなく、ただ廊下を歩く。
「…あ…もしかして、すれ違いで教室に戻ったのかな…?」
キュッとその場に止まってから、今度は教室に向かって歩き出した。
「空〜っどこ行ってたのぉ?あ、もう仲直りしてきた?!」
「…ううん。どこにいるのかわからなくて…」
「そっかぁ。っていうか、夕凪君っていつもサボってどこにいるんだろぉ?」
そういえば、瑠璃には屋上のことを話していなかった。
「あのね、瑠璃。実は…」
私は屋上が開くこと、朝早く屋上へ行ってたこと、夕凪君が空の写真をよく撮っていることを話した。でもなぜか、彼が将来写真家になりたいと言ったことは言えなかった。
「屋上って開くんだぁ!」
「うん。私も知らなかった」
「…夕凪君ってば空の写真を撮るために授業サボってるなんて、余程だね」
瑠璃の"空"というイントネーションが、私の呼ぶのと同じで少し変な感じがした。
「空しか撮ってないの?」
「うーん、景色も撮ってるけど……写真が10枚あったとしたら6枚は空の写真…って感じかな」
「大の空好きなんだねぇ」
「そうだね」