君と、世界が変わる瞬間に。
「瑠璃っ、お願いがあるんだけど…」
「お願い?」
私はひとりで夕凪君の家に行くのが不安だから、瑠璃に着いてきてほしいと頼んだ。
「ごめんね!今日はどうしても外せない用事があってぇ!」
瑠璃はうるうるとした目で私にそう言った。「それならしかたないね」と笑って言ったが、心の中では「どうしよぉぉぉ!」と叫んでいた。
それから私は学校をでて、先生から受け取った住所の紙を見て、駅まできていた。
今日は、バイト先のカラオケ店は、水道の点検みたいなのが入るから休みになったんだけど、こんなことなら……
そう思って、私は自分の頬をペシっと叩いた。
夕凪君に会うのが怖いから。そんな理由であんな嫌な空間の場所に行きたいって思う自分に苛立った。
バイト中はいつも水の中にいるみたいで、ゴボゴボ水が口の中に入ってくるようで、息苦しくて辛かった。
そんな場所を逃げた先にしたくない。
私はギュッと住所の紙を握りしめて、覚悟を決めて歩き出した。