君と、世界が変わる瞬間に。








「あ…」


授業が終わり、廊下も賑やかになっていた頃にはもう彼は…教室にはいなかった。

屋上…だろうな。…きっとまた飽きもせず写真を撮ってる。

そんな彼の姿を想像して、少しだけ。ほんの少しだけ…羨ましいと思った。




「…ね、空もそうおもうでしょ?!」


「へっ…あ、うん!」


聞いてなかった…っ。

だけど瑠璃は不審には思わなかったみたいで話しを続けた。ホッ…と安心してから、今度は聞き逃さないように充分集中した。





「…空、今日暇?」


突然問いかけに肩が揺れる。けど、この一言はなんどか聞いたもので、私は「ごめん、今日もちょっと…」と何かしらの理由をつけて断っていた。


「むー、空いつも無理だよね〜」


私は、瑠璃のその言葉にドキッとする。


「瑠璃と出かけるのいやなの〜?」


心拍数が上がるのがわかる。焦っている。…嫌われたくない。それだけが今の私を動かしている。


「違う!!本当に…ちょっと放課後が無理なだけでっ…」


「ふふ、わかってるよ!…ちょっと拗ねただけ〜!空、放課後忙しいってわかってるよ〜!」



私の心とは裏腹に、瑠璃はにひひっ…と笑った。



「そ、そっか」


私も笑った。けど、心臓の音はさっきよりも速くなっている。…本当にただの冗談なの?…本当はどう思ってるの?…そんな考えが溢れ出して止まらなくなった。




< 7 / 171 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop