君と、世界が変わる瞬間に。
「あ…」
授業が終わり、廊下も賑やかになっていた頃にはもう彼は…教室にはいなかった。
屋上…だろうな。…きっとまた飽きもせず写真を撮ってる。
そんな彼の姿を想像して、少しだけ。ほんの少しだけ…羨ましいと思った。
「…ね、空もそうおもうでしょ?!」
「へっ…あ、うん!」
聞いてなかった…っ。
だけど瑠璃は不審には思わなかったみたいで話しを続けた。ホッ…と安心してから、今度は聞き逃さないように充分集中した。
「…空、今日暇?」
突然問いかけに肩が揺れる。けど、この一言はなんどか聞いたもので、私は「ごめん、今日もちょっと…」と何かしらの理由をつけて断っていた。
「むー、空いつも無理だよね〜」
私は、瑠璃のその言葉にドキッとする。
「瑠璃と出かけるのいやなの〜?」
心拍数が上がるのがわかる。焦っている。…嫌われたくない。それだけが今の私を動かしている。
「違う!!本当に…ちょっと放課後が無理なだけでっ…」
「ふふ、わかってるよ!…ちょっと拗ねただけ〜!空、放課後忙しいってわかってるよ〜!」
私の心とは裏腹に、瑠璃はにひひっ…と笑った。
「そ、そっか」
私も笑った。けど、心臓の音はさっきよりも速くなっている。…本当にただの冗談なの?…本当はどう思ってるの?…そんな考えが溢れ出して止まらなくなった。