君と、世界が変わる瞬間に。
…って、誰もいなかった。
「はぁぁ…」
正直ホッとした。…休憩室に先輩たちがいるとすごくきついからな。
私は着替えを持って、更衣室に入り着替えた。
「…大丈夫、大丈夫…」
いつもの呪文と、深呼吸。…私は足を踏み出した。
「雨野入ります!」
「…あ、雨野さぁん…っ」
「はい」
「これ、305号室〜持って行って〜」
いつものように、先輩は私に仕事を押し付ける。…自分でいけよ。なんて思ってることはきっと誰も知らない。
…えっと、305号室はここだ。
「ギャハハハっ!!!」
ノックをしようと出した右手が宙で止まった。…中から聞こえる男子達の声。
その声が、あの頃の奴らの声と重なって、手が震えてきた。
そして私は、加藤涼太がこの前このカラオケに来ていたことを思い出す。もし、ここにいるのがそいつだったら?
もう考えてしまえば止まらない。
ーガチャー
「ぅわっ…」
「あっ…えっと…唐揚げをお持ちしました」
「ああ。…ありがとーございます」