君と、世界が変わる瞬間に。
「…え……」
押さえつけられていた腕や体が軽くなる。
「…な、にが…」
私の横にはうずくまった店長。…それと、誰かの足……。…その足をたどって上へ視線を動かした。
「…ど…うして……」
そこに居たのは…
「…言ったやろ?…絶対助けるって」
…夕凪君……っ。
…涙がでた…。…ボロボロと、涙を止める蓋が壊れたかのように、ただただ涙がでた。
「…痛…っ」
「写真は撮りました。…警察呼びますよ」
「ひぃっ」
「あ、待てっ…」
ーギュッー
「…雨野さん…」
私は無意識で夕凪君の服をつかんでいたみたいだ。…手も震えていて、声も出せなくて、怖くて…夕凪君にどこにもいってほしくなかった。
「…遅うなってごめんな。…」
夕凪君はそういって私を抱きしめてくれた。…そうしたら涙はよりいっそうながれた。
…夕凪君が来てくれなかった私はあのままどうなっていたかわからない。
……ずっと、だれも私を助けてはくれないと思っていた。…そう、誰も助けてはくれなかったから。
でも、彼は私が"助けて"といったとき、来てくれた。
唯一声に出したSOS。…夕凪君はそれを、受け取ってくれた。…絶対助ける、って前に言ってくれた通り。助けてくれた。駆けつけてくれた。
「…ありがとう……」
夕凪君の体温が落ち着く。…心が暖かくなる。…ホッとする。……彼は私のヒーローだ。