君と、世界が変わる瞬間に。
ーカランカランー
「いらっしゃいませ!2名様ですか?」
「はい」
「お好きな席へどうぞ」
私と夕凪君は窓側の席に向かい合って座った。…店員さんの持ってきたお水を飲んで、夕凪君に聞きたいことを聞く。
「…どうしてあそこにいたの?」
「ちょうど近くにおってなぁ。…で、バイトって言うとったし、兄ちゃんからカラオケでバイトしとったの聞いてな。…けど、8時になっても出てけぇへんし、中入ってみれば…」
そういうことか…。
「…あ、そういえば話ってなんやったん?」
「……えっと…っ……。…この前のこと…謝りたくてっ」
「この前?なんやっけ?」
夕凪君は本気で覚えてなさそうにする。
「…先週……。心配してくれたのに、私…夕凪君にメールしたってどうしようもないって…怒鳴って…八つ当たりした…」
「あー、それのこと。…別に気にしてへんよ?」
「でも私はずっと謝りたくてっ…ごめんなさい!……夕凪君は助けてくれたのに。夕凪君に助けを求めたってしょうがないって!…最低な事言った……」
「…顔上げてや」
優しい声でそういう夕凪君に、涙がでそうになる。
「助けられてよかった」
フワッと微笑みながら夕凪君は私にそう言った。…言葉にできない気持ちがこみ上げてくる。…暖かくてドキッとして、キュウッてなる。
「…どないした?」
「えっ…う、ううん!」
とりあえずなにか食べよう、ということで私と夕凪君はメニューを見て注文した。