なないろ
私は運動が苦手だ。

特に球技なんて、玉を打ったり投げたり蹴ったり。何が楽しいのかさっぱり分からない。

もし、私がもっと足が速ければ。ボールの扱いが上手ければ。スポーツを好きでいるのだろうか。想像もつかないけれど。


「3組〜っ!!おーっ!!」

円陣まで組んで気合いを入れているクラスメイトを、まるで気持ちだけ幽体離脱したかのように人ごとに感じられる。

私も、そのチームの一員なのに。

唯一の救いは、球技の中でも1番マシだと思っているバレーボールのチームになれたことくらい。

とりあえず、みんなに迷惑をかけないことが、目標。ボールから目を離さない。自分の前に来たボールを、あさっての方向ではない所に打てばいい。

試合が始まる。何度か私の所にきたボールを腕に当て、チームメイトの手の届く範囲内に打つことができてほっとする。

「虹!」

そう、何回か呼ばれ、私もようやくチームの一員となれた気がした。

腕と、ボールを見上げる首が痛くなってきた頃、試合終了の笛が聞こえる。

どうやら、勝ったようだった。

周りの女子達は、ハイタッチを交わす。その笑顔は輝いていて。

そばにいたいつもツインテールの彼女が私にもハイタッチをしてくる。それに答える私は、彼女たちのようにうまく笑えている自信はない。それでも、やっぱり勝てたことは嬉しくて。

無関心だと思っていた自分に少し戸惑う。
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