明易のマンション
1章
近年の地球温暖化は深刻である。毎年夏がくるとそう考えてしまう。だって、思い出してみてくれよ。朝9時に30℃ってありえる?地域によっては40℃って…。人間の体温より高いじゃん!まだ小学生くらいの頃、外で夏も遊んでたよね?絶対、こんなに暑く無かったって!
こんな事を考えながらフラフラと大量の汗をかきながら歩いているのは神辺潤(かんべ じゅん)という少年だ。体型は中肉中背。顔も普通。クラスにはこんな人絶対一人はいるよねみたいな極々普通の高校2年生だ。
「暑い。」
何度呟いたか分からない言葉。その言葉を発した瞬間、潤はしまったと思った。横をチラっとみると、ここだけ南極ではないかと比喩出来るくらい冷たい視線が突き刺さった。
「あのさ、何回暑いって言ってるの?バカなの?夏なんだから暑いのは当たり前でしょ?てか、暑い、暑いって言われたらますます暑くなるでしょ!」
と、ツインテールにした髪を揺らしながら少女は潤をまくし立てた。
「ご、ごめんって朱里。この通りだからさ!」
と潤が目の前で手を合わせて謝る。その様子に「はぁ~。」とため息をついたこの少女は柳井朱里(やない じゅり)と言う。腰まで長い黒い髪をツインテールにした姿が特徴的で潤とは幼馴染みだが仲間うちでは潤の情けない姿を叱る姿がお馴染みになりすぎて“兄弟みたい”と言われている。先程も説明したが二人は幼馴染みで家は隣同士、保育園から一緒の仲だ。
「ところで、何回言っても分からないバカは夏休みどうするの?」
「バカって言うな!潤って呼べよ!夏休みだけど予定は特にないかな?部活あるし。」
「今年はどうなのかな?去年は海に行ったけ?」
「行ったなぁ~。なんか随分昔に感じちゃうなぁ~。今年はどうなるのかな?」
「さぁ~?てか、今日、今からそれを話し合うって昨日言ったよね?忘れたの?」
朱里が潤を睨む。これ以上怒られたくない潤は慌てて覚えてると伝える。さっきから二人が話しているのは部活の話だ。海に行ったとか、今年はどこに行くとか遊びに行くみたいな会話だが、二人とも写真部に所属しており、夏休みの時期は文化祭に出展する為に風景などを撮りに行くのだ。
「本当に楽しみだね!朱里は行きたいとこある?」
「う~ん。考え中かな?てか、話は変わるけど期末試験大丈夫だったの?追試とかなってない?」
と朱里は思い出したように潤に聞いた。潤はニコニコしながら
「バッチリだよ!今回のテストも全教科平均点だよ!」
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