私の本音は、あなたの為に。
あれから1ヶ月が経った。


私は今まで以上に上手に勇也の演技をし、ママも今までよりも明るくなった。


その代わり、家での私の感情はほぼ消え失せ、ずっと笑顔で居ることが多くなった。


(苦しいかも…)


そう思っても、満面の笑みを浮かべてテレビを見たり。


(ちょっと、辛い…)


そう思っても、そんな自分から目を逸らす為に必死で中間テストの勉強をしたり。


おかげで、テストの点数は良くなって。


500点中、435点を取るまでになった。


ずっと400点を越すか越さないかだった私にとっては、大きな進歩だ。


しかも、苦手科目である理科で80点後半を取れたのも、演技への意識を変えたからだと思う。



その中間テストでまたもや気になったのは、五十嵐の事で。


テスト期間中、何故か彼は別室でテストを受けていた。


1度だけ、私達の方が早く国語のテストが終わり、別室に居る五十嵐がまだテストをしているという事があった。


そして、私が何気に五十嵐の居る部屋の前を通った時。


「……になります。問1、この文章を修飾している文字は何でしょう……問2……」


と、先生が国語の問題文を読んでいる声が聞こえてきた。


(えっ…?)


私は思わず立ち止まり、聞こえる声に耳をそばだてた。


「次、お願いします…」


そして聞こえてきた五十嵐の声。
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