私の本音は、あなたの為に。
そして、その言葉が何を意味しているかが分かった彼女は、はっと息を飲んで。


「私、怖くて何も反応が出来なくて……そしたら、五十嵐がずっと話し続けてて……」


『安藤って、髪が短いじゃん?しかも、何て言うか、性格も男っぽい気がするし。…色々な面で、男っぽいよね』


最初に五十嵐が言ったその言葉を、私はそのまま声に出した。


「……」


それを聞いた花恋の顔色が、さっと青ざめる。


「雰囲気が男っぽくて、男子達に溶け込んでるって…言われて……」



堪らず、嗚咽が漏れる。


もう、言葉に出す事も辛い。


私は、女子なのに。


私は、男子ではないのに。


ただ、家の中でだけ男子なだけで、他は皆と何ら変わりはないのに。


「だからっ…男っぽいって何度も言われてっ……嫌だったの、私は女なのに……」


泣きながら最後の一言を口にした私は、感極まってその場に泣き崩れた。


「それは、酷いよ……」


私の涙が移ったのか、花恋も目を瞬かせていて。


「優希、1人で良く頑張ったね、偉いよ…」


花恋の声は、震えていた。


「優希は女の子なのにっ、れっきとした可愛い女の子なのに……」


そして、ふっと息を吐いた花恋は、これでもかという程私を褒め続け始めた。


「優希は可愛いし、格好良いし、髪型も似合ってるし、図書委員っていう時点で私からしたら素晴らしいと思うし…」
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