私の本音は、あなたの為に。
私へのお褒めの言葉はまだまだ後を絶たない。


「お兄ちゃん思いだったし、本当に優しいし、素直だし、活発だし、サッカーに関しては本当に詳しいし……」


時々私の背中をさする手を止めながら、花恋はまだ言葉を紡ぎ出す。


「さっきも言ったと思うけど優希は本当に可愛いし、何か私より可愛いし…」


少し拗ねた様なその言い方に、私は思わず笑ってしまう。


それを見た花恋は、目を潤ませながら私と同じ様に笑った。


「良かった…笑ってくれて」


(えっ…)


困惑する私。


花恋は、私の背中をまたさすりながら言葉を続ける。


「優希、本当に辛かったね…。でも、怜音は決して悪い思いで優希に言った訳では無いと思う」


それは、私も分かっている。


何も知らない人が私を見た時、必ず“男っぽい”と思ってしまう事、そしてそれを口に出してしまう事。


決して私を傷つける訳ではなく、どちらかと言えば褒めていると分かっていても。


拒否反応が、起こってしまうのだ。


「でも、私は……」


「分かってる。優希は、女子だって」


花恋は、私の言葉を遮った。


「皆、きちんと分かってくれているよ。…優希は、優希の家の中でだけ男子なの」


彼女は、私を傷つけないように最大級の優しい言葉を選んで話し掛ける。


私は、花恋からの言葉ならほとんど傷つかないのだけれど。
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