私の本音は、あなたの為に。
「本当は、さっきその話を聞いた時から優希ちゃんのママに真実を言う事が最善策だと思っていたけど…」


大ちゃんは、左手に持っていたサングラスを揺らしながら言葉を紡ぐ。


「でも、優希ちゃんが強く思うなら、僕は口出しをしなくても良さそうだね」


(あっ……)



私は、その言葉で気がついた。


大ちゃんは、どこまで洞察力が優れているのだろう。


私の気持ちの強さ、頑丈さを確かめる為に、わざときつい言葉を投げかけて私の反応を見ていたなんて。


「大ちゃん、ありがとう…」


私は、彼の澄んだ目を見ながらお礼を言う。


「いいえ」


彼は、満面の笑みを浮かべた。


もう、私の家は見えてきていた。



「そうだ、優希ちゃん!」


信号を渡ってすぐに、私よりも少し先に歩いていた大ちゃんが振り返る。


「もし、この後に優希ちゃんの気持ちが変わったら…優希ちゃんのママに本当の事を言いたくなったりした時、俺が居なくても平気?」


(何で、そんな事を聞くの?)


私は首を傾げる。


今まで、大ちゃんが居なくても頑張れたのだ。


確かに、幼馴染みの彼は私の事を心配してくれたし、きちんとアドバイスもくれた。


けれど、きっとこれからも大丈夫だろう。
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