私の本音は、あなたの為に。

今度は髪の毛を結び始めたママは、髪の毛を押さえていた手を外した。


さらりと、結くはずだった髪の毛が流れ落ちる。


｢遊大君、右腕をもう1度手術するんだって｣



遊大君、右腕をもう1度手術するんだって。


その言葉が、何重にも重なって頭の中にこだまする。


｢それって、どういう…？｣


ママが何を言っているのか、理解が出来なかった。


大ちゃんは、手術はもう終わったはずだから。


(なのに、何でまた手術なんてするの？)


そんな私の疑問に答える様に、ママは悲しそうに目尻を下げながら説明する。


｢遊大君ね、リハビリを頑張ったかいもあって、一時期は回復したらしいのよ｣


“一時期は”


その言葉が、私の気分をどんどん暗くさせていく。


｢…でもね、この前から、右腕を動かすと猛烈な痛みが走るんだって…。お医者さんに相談したら、早急に手術が必要だって言われたらしいのよ｣


｢それって、病院側からいつ言われた事なの？｣


私は、息せき切ってそう尋ねる。


｢数週間前に言われたって、遊大君が言ってたわ｣



その言葉で、私は初めて大ちゃんが私のママに直接その事を告白した事を知った。


｢それで？｣


私はママに、続きを話す様に促す。


｢私も、今日初めてその話を聞いたんだけれど…。遊大君、本当に悔しそうにしていたわ｣


｢……｣