私の本音は、あなたの為に。
大ちゃんは、日本に居れる理由が欲しかったから。


手術はしなければいけないけれど、本当は日本から離れたくなかったから。



そして、私がマンションの中に入ってから、


『大ちゃん、また会えるよね？』


と何気に聞いた、あの時。


彼の顔は、本当に辛そうだった。


本当なら誰かに言いたいのに、伝えたいのに。


けれど、秘密にした方が周りの為になると思って。


『もちろん！優希ちゃん、また俺に会いたいの？優希ちゃんの為なら飛んで来てあげるよ』


だから、彼は見え見えの嘘をついたのだ。


冗談交じりの台詞を言うことで、自分の中の不安を吹き飛ばすように。


私の悩みに気付いた大ちゃんは、自分がいつ帰って来られるか分からないという事を知っているから。


だから、自分が居なくても何とかなるように私に質問攻めをしたのだ。


私がその質問に答えられたら、自分が居なくても解決が出来るはずだから。


私がどんなに辛い状況に立たされても、きっと大ちゃんの代わりに私の友達が助けてくれると信じていたから。



｢そんな……｣


驚きの余り、思わず兄の演技を忘れかけて呟く私。


けれど、そんな私にママは気付かなかったようで、


｢本当よねー｣


と、悲しそうに口角を下げている。
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