私の本音は、あなたの為に。
「えっ?」


急な事に驚き、私は思わずスマートフォンを取り落としそうになる。


『俺はアメリカに行くけど…、優希ちゃん、それは俺を安心させる為の嘘じゃないよね?』


びくんと、身体が揺れる。


どうして、彼はこうも私の計画を先読みしてしまうのだろう。


私は、大ちゃんを安心させる為に嘘をついているけれど。


大ちゃんにとってみたら、それは安心が出来ないことなのかもしれない。



「……嘘じゃないよ」


(もう、仕方無い)


私は、あっさりと負けを決め込む。


大ちゃんの手にかかれば、私がきちんと行動したかしていないかなんて、一目瞭然のはずだから。


「本当はね、怖いよ……」


(物凄く、怖い)


“怖い”という言葉に留められる程、この恐怖は計り知れなくて。


「最悪の結果を考えちゃうから…。でも」


私は、唾を飲み込む。


「大ちゃんの為にも、きちんと五十嵐と向き合ってみる」


その言葉を言った直後、電話越しに大ちゃんが長く息をつくのが聞こえてきた。


『良かった…!きちんと話し合えば、向こうも分かってくれるはずだからね。…これで、俺も安心して手術に……』
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