私の本音は、あなたの為に。
そして、そのままゆっくりと目を開ける彼。
「五十嵐……本、ここだよ…」
五十嵐が何故急に目を瞑って走って来たのか分からない私は、突っ込む事も忘れて幼児向けの本の場所を指差す。
ここは高校なのに、司書の先生達も幼児向けの本を図書室に入れる事に疑問は湧かなかったのだろうか。
逆に凄いと思える。
「あっ本当だ、ありがとう」
彼はしゃがみ込み、何冊もの本の題名の上に手を滑らせた。
「何がいいかなー」
題名の上を行ったり来たりしていた彼の指は、遂にある本で止まった。
「これが良い。これ読むね」
それは、私を含めて誰もが知っている様な定番の本だった。
昔話の、“桃太郎”。
何故その本にしたのか、私には五十嵐のセンスが分からなかったけれど。
「そう…分かった」
私がそう言うと、五十嵐は笑顔で本を抜き取り、早速自分の座っていた席に戻った。
それを見届けた私は他の本棚に移動し、ずっと読んでみたかったサッカー以外の本を1冊手に取って席へ戻った。
(よし、読もう!)
内心小躍りしながら席に座った私は、満面の笑顔を浮かべて自分の取った小説を開いた。
目次を飛ばした私が、1ページ目を読み始めたその瞬間。
「五十嵐……本、ここだよ…」
五十嵐が何故急に目を瞑って走って来たのか分からない私は、突っ込む事も忘れて幼児向けの本の場所を指差す。
ここは高校なのに、司書の先生達も幼児向けの本を図書室に入れる事に疑問は湧かなかったのだろうか。
逆に凄いと思える。
「あっ本当だ、ありがとう」
彼はしゃがみ込み、何冊もの本の題名の上に手を滑らせた。
「何がいいかなー」
題名の上を行ったり来たりしていた彼の指は、遂にある本で止まった。
「これが良い。これ読むね」
それは、私を含めて誰もが知っている様な定番の本だった。
昔話の、“桃太郎”。
何故その本にしたのか、私には五十嵐のセンスが分からなかったけれど。
「そう…分かった」
私がそう言うと、五十嵐は笑顔で本を抜き取り、早速自分の座っていた席に戻った。
それを見届けた私は他の本棚に移動し、ずっと読んでみたかったサッカー以外の本を1冊手に取って席へ戻った。
(よし、読もう!)
内心小躍りしながら席に座った私は、満面の笑顔を浮かべて自分の取った小説を開いた。
目次を飛ばした私が、1ページ目を読み始めたその瞬間。