私の本音は、あなたの為に。
「え、無いけど?」
私の答えを聞いた途端、ママの顔が綻ぶ。
「この映画、見に行かない?」
急に勿体ぶったママは、私の空いた手にある映画の広告の紙を押し付けてきた。
「ん?」
“記憶の欠片を握りしめ”
何とも興味をそそる題名に、私は思わず、
「おっ」
と声をあげてしまった。
「この紙、会社の近くで配っていてね。つい貰ったら、凄く見に行きたくなって…!」
「うんうん」
私はママの話に相槌を打ちながら、ぺらりと紙を捲った。
そこには、大きくキャッチコピーが書かれていた。
“あなたが私を忘れても、私があなたの事を覚えているから”
(ちょっ…!?)
何とも言えない思いが、私の中を駆け巡る。
けれど、私はその気持ちに気付かなかった事にして、映画のあらすじを読み始めた。
“女子高校生の舞(まい)は、同じクラスの男子、遥(はるか)に片想い中。
けれど遥には、あるタイミングから数分~数時間もの間、大切な人や自分の家族以外の周りの事を思い出せなくなるという記憶障害があった。”
そこまで読んだ私の背中には、嫌な汗がだらりだらりと垂れてきて。
(本当に、ママはこれを見たいの?)
私の答えを聞いた途端、ママの顔が綻ぶ。
「この映画、見に行かない?」
急に勿体ぶったママは、私の空いた手にある映画の広告の紙を押し付けてきた。
「ん?」
“記憶の欠片を握りしめ”
何とも興味をそそる題名に、私は思わず、
「おっ」
と声をあげてしまった。
「この紙、会社の近くで配っていてね。つい貰ったら、凄く見に行きたくなって…!」
「うんうん」
私はママの話に相槌を打ちながら、ぺらりと紙を捲った。
そこには、大きくキャッチコピーが書かれていた。
“あなたが私を忘れても、私があなたの事を覚えているから”
(ちょっ…!?)
何とも言えない思いが、私の中を駆け巡る。
けれど、私はその気持ちに気付かなかった事にして、映画のあらすじを読み始めた。
“女子高校生の舞(まい)は、同じクラスの男子、遥(はるか)に片想い中。
けれど遥には、あるタイミングから数分~数時間もの間、大切な人や自分の家族以外の周りの事を思い出せなくなるという記憶障害があった。”
そこまで読んだ私の背中には、嫌な汗がだらりだらりと垂れてきて。
(本当に、ママはこれを見たいの?)