私の本音は、あなたの為に。
「本とか読めばいいのに」
後ろのロッカーの上に学級文庫あるよ、と私は苦笑した。
「…いや、俺……」
五十嵐の、何とも言えないその返答。
何かをはぐらかす様な曖昧な言葉の中に、
『追及しないで』
という思いが込められている様な気がした。
「そう…」
私はその思いを汲み取り、それ以上話題を掘り下げなかった。
3時間目の国語の時間。
「…つまり、この単語はこの文節を修飾している事になります」
国語を担当する男の先生の声を聞きながら、私はノートに黒板に書かれた字を写していた。
先生の文字を書くスピードは早く、止めることなく手を動かしていないとついていけない。
それに加えて色ペンで印もつけないといけないのだから、大変だ。
「じゃあ、ここまで書いてください」
一区切りがつく所まで書き終えた先生は、ようやくチョークを置いた。
(疲れた…)
黒板に書かれた事を全て移し終えた私は、ほっとして肩の力を抜いた。
何の気なしに横を見ると、五十嵐が教科書のみを開いていた。
ノートが、机の上に出されていない。
「五十嵐、ノートは?」
気になった私がそう尋ねると、
「ああ、俺、ノートに書かない主義だから」
と、笑いながら言われた。
後ろのロッカーの上に学級文庫あるよ、と私は苦笑した。
「…いや、俺……」
五十嵐の、何とも言えないその返答。
何かをはぐらかす様な曖昧な言葉の中に、
『追及しないで』
という思いが込められている様な気がした。
「そう…」
私はその思いを汲み取り、それ以上話題を掘り下げなかった。
3時間目の国語の時間。
「…つまり、この単語はこの文節を修飾している事になります」
国語を担当する男の先生の声を聞きながら、私はノートに黒板に書かれた字を写していた。
先生の文字を書くスピードは早く、止めることなく手を動かしていないとついていけない。
それに加えて色ペンで印もつけないといけないのだから、大変だ。
「じゃあ、ここまで書いてください」
一区切りがつく所まで書き終えた先生は、ようやくチョークを置いた。
(疲れた…)
黒板に書かれた事を全て移し終えた私は、ほっとして肩の力を抜いた。
何の気なしに横を見ると、五十嵐が教科書のみを開いていた。
ノートが、机の上に出されていない。
「五十嵐、ノートは?」
気になった私がそう尋ねると、
「ああ、俺、ノートに書かない主義だから」
と、笑いながら言われた。