私の本音は、あなたの為に。
それから数時間後の5時間目。


視力検査と聴力検査の時間がやって来た。


先に聴力検査、後に視力検査という順番だ。



「聴力、パソコン室だっけ?」


「うん、そうだよ。視力は、ホール」


前を歩く女子達の話を聞きながら、私もパソコン室に向かった。


聴力検査は時間はかからずにスムーズに終わったけれど、問題は視力検査だった。


廊下からホールまでの道を約120人の1年生が占領し、上級生が道を通れないという異例の事態が発生した。


それに加えて1年生はかなりの声で騒いだ為、1番うるさかった特定の男子が先生に連れられて行ってしまった。


「静かに!ほらそこ、静かにしなさい!」


先生達が何とかして静かにさせようとするけれど、私を除く1年生には余り効き目がないようだった。



私もその長蛇の列に加わる事、数分。


後ろに、また新たに人が並んだ。


(誰だろう…?)


そっと振り返ってみると、そこには私の知っている人の姿があって。


「花恋?」


「えっ?」


腰まで届く程の艶やかな長い髪が揺れ、私の知っている人-花恋-が振り返った。


「優希?」


花恋はその可愛らしい顔に似つかず、口を閉じるのを忘れたかのように私を凝視した。


それもそのはず。


私達は入学式から会う機会もなく、連絡する時間もなかった為、高校生として話すのはこれが初めてなのだ。
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