私の本音は、あなたの為に。
その沈黙を解いたのは、他ならぬ花恋。


「優希、優希?優希じゃん、優希ーっ!」


と、私の名前を連呼し、最終的に抱きついてきた。


「ちょっ、花恋?」


慌てて花恋の体を自分から引き離すと、花恋は満面の笑みを浮かべていた。


「優希、会いたかったの!何組なの?」


「1組だよ。花恋は2組だよね?」


私は笑いながら答える。


「うん!…そうなんだ。優希、1組なんだ」


花恋は私の言葉を口の中で繰り返しながら、花が咲く様に笑った。


「優希、もしかして図書委員?」


「うん、そうだけど…」


「じゃあ、もしかして担当は放課後?」


息せき切って尋ねてくる花恋に笑顔を向けながら、私は次々に答えていく。


「うん」


「じゃあじゃあ、もしかして日にちは月・水・金?」


「そうだよ。…何で知ってるの?」


花恋はにっこりと笑った。


「2組の図書委員の人達から聞いたんだ。優希が図書委員になったって」


花恋は嬉しそうにその場でくるくると回った。


そして、また私に質問を投げかける。


「放課後って、図書室に行っても平気だよね?」


今回の質問は、花恋が何を考えているのか予測が出来た。


「うん。花恋、図書室に来たいんでしょ?」
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