私の本音は、あなたの為に。
「花恋?」


私の声に、俯き加減だった彼女がはっとこちらを見る。


その目は、


『言っていいの?』


そう、語っている。


『うん』


幾ら私と親友だからといって、花恋は私の気持ちを全て理解している訳では無い。


彼女はいつも私を守ってくれるけれど、もし彼女が私と同じ目に遭ったら、きっと取る行動は違うだろう。


私が微かに頷くと、彼女は椅子に座ってその場に立っている私達2人を交互に見詰め、自分の意見を言葉にしていった。


「…私も、よく分からないけど。でもやっぱり、唯一の家族に自分の事を忘れられるのって凄い辛いと思う。だから、まあ、行為としては危ないけど、でもそれで幸せなら仕方ないかな?とは思うんだけどね」


私も、分かっている。


昔からのこの行為が、私にとってどれ程危険か。


「でもさ、やっぱり…」


花恋の話が終わったと勝手に解釈した五十嵐が口を開きかけ、


「そうは思うんだけどね」


まだ話が終わっていなかったらしい花恋が、五十嵐の言葉に被せる様に声を上げた。


「そうは思うんだけど…。でも、1回位は…また、自分の正体を伝えてみてもいいと思う。…だって、これからも演技をしていくとなると、かなりのリスクが伴うし…」
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