私の本音は、あなたの為に。
(その為には、どうすれば良い、私?)


(…カミングアウトしないといけない)


何度も何度も、私は同じ事を自問自答をし、その結果。


(怖い…けど、大丈夫。2人が居るなら、何とかなるって信じたい)



「…分かった。私、言ってみる」


スカートの折り目を触りながら、伏し目がちにそう言うと。


「やった!五十嵐、良かったじゃん!…えっ、喜んで良かったんだよね?」


と、暑苦しい長袖を捲りながら花恋は喜び、喜んで良かったのかを小声で確かめ。


「おお、いつ言うの?俺は何もしなくて良い?」


と、言い出したはずなのに任務放棄しようとする五十嵐。


「…夏休み始まる前までには言いたいな…後、1人は無理かも。直前に電話しても良い?」


(1人だと、色々……あの反応は、結構、こたえるし…)


過去の苦い思い出が蘇った私は、“電話”という案を提案した。


「うん、その位なら全然大丈夫。がんがん来ちゃって」


逃げないでよ言い出しっぺ、と、花恋は五十嵐を睨み付けながら私にそう言った。


「俺逃げないし!…良かった、安藤」


負けじと花恋を睨み返した五十嵐は、ふっと安心した様に微笑んで私を見た。


(五十嵐……ありがとう)


五十嵐のおかげで、私は重大な決断を下す事が出来た。


「ありがとう」


そう、お礼を言うと。
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