私の本音は、あなたの為に。

｢何で？用事なの？｣


花恋は、納得していない様な顔で五十嵐を見ていた。


｢っ、まあそんな感じ｣


とにかくまた明日、と、五十嵐は逃げる様に扉へと向かって行く。


｢私は別に構わないんだけど…何か怜音って、自分から図書室を避けてる気がする｣


私が止める間も無く、急に花恋は私達に背を向ける五十嵐に呼び掛けた。


｢？｣


驚いた五十嵐は、そのままの格好で立ち止まる。


｢優希が私の所に逃げてきた時、怜音は図書室に入ってなかったし…。優希が係の仕事を一時期休んでた時も、怜音も係の仕事行ってなかったんでしょ？｣


｢ちょっ、花恋？｣


慌てて彼女を止めようとするけれど、時すでに遅し。


どこでそんなスイッチが入ってしまったのか、花恋はとどめの一言を口にしてしまっていた。


｢何か、私の偏見みたいな感じだけど…。怜音は、図書室嫌いなの？…それとも、何かあるの？｣


(ええええっ！？)


思わず、心の中で叫び声を上げた私。


今の彼女の言葉は、さすがに私もフォロー出来ない。


｢何言って……！｣


驚きと困惑、そして若干の怒りが混ざった表情で、五十嵐が勢い良くこちらを振り返った。


そして、花恋に何かを言おうと口を開き。




｢っ………！｣



それは、一瞬の出来事だった。