私の本音は、あなたの為に。
顔を洗い、まだ真新しい制服に身を通した私は、テーブルについて朝ご飯を食べ始めた。


｢どう、美味しいかしら？｣


ママが私の顔を覗き込んで聞いてくる。


｢うん、美味いよ｣


私は、笑顔でそう答えた。




私の家は、物心ついた時から母子家庭だった。


実の父親は、私が生まれて間もない頃に家を出て行ったらしい。


その頃の事は、私は幼過ぎて覚えていない。


元々海外で育っていた日本人の父親は、母国だけれど外国での生活に、狭苦しさを感じたのかもしれない。


そして私の家族は、ママと年子の兄である勇也の3人になった。


ママは、私達兄妹の為に身を粉にして働き、私達もママに迷惑をかけないように生活をしてきた。


裕福な家庭とまではいかないけれど、親戚との仲も良く、私達は幸せな毎日を送っていた。



あの日が来るまでは。



ちょうど3年前－私が中学1年生、勇也が中学2年生の時－、勇也は不慮の事故で亡くなった。


死因は、酔っぱらいが勇也を押したことによる電車接触事故。


勇也は、何も悪いことはしなかったのに。


ただ、酔っぱらいが勇也を押したタイミングと、電車が近づくタイミングが悪かったのだ。
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