私の本音は、あなたの為に。
エピローグ
私がママにカミングアウトをしてから、1ヶ月程が経ったある日。


夏休みも終盤を迎え、普通ならもう高校からの課題も終わっているという頃。


「ねえ、もう無理だって!止めない?止めた方が俺にとっても宮園にとってもいいと思うんだけどな。一石二鳥だってば!」


「私隣に居るんだから、そんなに騒がないで!?しかも此処、優希の家なんだからね?場をわきまえなさいよ、場を!」



私の家には、五十嵐と花恋が遊びに来ていた。


遊びに来たと言うより、五十嵐の高校の課題-というより文字の読み書き-を何とか克服しようと、勉強をしに来ていた。



もちろん、五十嵐の文字嫌いはすぐに克服する訳もなく。


かれこれ2時間、私と花恋は必死に嫌がる五十嵐と一緒に、幼児向けの本を読んでいた。



そんな時。


「あらあら、大変そうね」


五十嵐と花恋が軽く戦闘態勢に入り、それを苦笑いしながら眺めている私の所へ、ママが入って来た。


「あっ、怜音がうるさくてごめんなさい!」


肘で五十嵐をつつきながら、花恋が済まなそうに謝る。


「いえいえ、賑やかで私も楽しいわ。ねえ、優希?」


急に話を振られ、ママから“優希”と呼ばれた私は、


「うん!」


と、笑顔で頷いた。
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