私の本音は、あなたの為に。
その時、ガラリと図書室のドアが開き、誰かの足音が聞こえた。


「ん?」


五十嵐が視線を向けた先を、私も見る。


「…優希、居る…?」


おずおずとこちらを見ているのは、花恋。


(そういえば、月曜日は図書室に来るって言ってたっけ…)


今更ながらにそんな事を思い出していると、


「あっ、優希ーっ!」


と、花恋は私の姿を見つけて飛びついてきた。


「図書室、ここだよね?本なんてあんまり読まないから、場所が分からなくて」


しばらくして私の背中に回された腕の力が緩み、花恋は私を見ながらそう言った。


「そうだよ、ここが図書室」


私は、苦笑いをしながら花恋を本棚の方へ向かせた。


そこで目に入ったのは、私よりも苦笑いを浮かべている五十嵐の姿。


「…仲睦まじい所、ごめんね。…安藤、この人は…?」


その言葉で、私はまだ花恋の事を五十嵐に紹介していなかった事に気付く。


「あっ、ごめん。花恋、この人は五十嵐 怜音。五十嵐、この人は…」


「私、宮園 花恋です。えっと、怜音君?宜しくね」


私の言葉を遮り、花恋は五十嵐に挨拶をした。


「…宮園、宜しく。……あと、君付けやめてもらってもいい?」
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