私の本音は、あなたの為に。
結局、朝学活が終わった後、私は保健室に直行した。


今の私の状態では、到底授業なんてまともに受けられないから。



『何処に行くの?』


朝学活が終わって私が立ち上がった時、五十嵐に声を掛けられた。


『…ちょっと、保健室に行くね』


『何で?何で行くの?』


その言葉はまるで、私に保健室に行って欲しくないような言い方で。


五十嵐の声に、どこか切羽詰まった様な、何となく必死の響きを捉えた。


『1時間目、国語でしょ…?安藤、居てよ』


五十嵐は私を引き留めようと、立ち上がろうとする。


すんでのところで私は身をよじり、五十嵐から離れる。


(ごめんね、五十嵐…)


(でも、何でこだわるの…)


国語の授業に、何故私が居なければいけないのか分からない。


『ごめん、行ってくる…』


もやもやとした胸を押さえ、私はその場から走り去った。



保健室に到着した私は、息を整えながらドアを開ける。


保健の先生の姿は見当たらなかった。


(居ない…)


本当は、職員室へ行って先生を探さなければならないけれど、私にはそんな気力は残っていなかった。


ふらふらと歩き、ベッドに倒れ込む。


学校でこんな風になるのは、今日が初めてだった。


今までは、何とか我慢してきていたのに。


もう、私の心は限界なのかもしれない。


(もう、嫌っ……)
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