私の本音は、あなたの為に。
しばらくして、私の長かった全ての髪の毛が床に落ちた。


「はい、終わりです」


切ってくれた美容師さんの言葉を合図に、私は立ち上がった。


会計場所まで行き、言われた通りの代金を支払う。



(ママ、何て言ってくれるかな…!)


新しい自分の髪の毛を触りながら、私はうきうきとそんな事を考える。


お礼を行って美容院を出て、私は心の中でスキップをしながら家へと向かう。


ママは、私のこの姿を見て何と言うだろうか。


『似合うわね、優希!』


それとも、


『あらあら、いい髪型じゃない!勇也も喜ぶわね!』


だろうか。


どちらにせよ、私はこの肩までのショートヘアがたまらなく好きだった。



それから少ししてマンションへと着いた私は、高鳴る胸を押さえながら玄関の扉を開けた。


「ただいま!」


「おかえり、優希!どんな髪型になったのかなー?」


私の弾む声を聞いたママが、洗面所から顔を出す。


私の髪の毛を切り終わったら一緒にショッピングをする予定だったからか、ばっちりとメイクまでこなしている。


そんなママが、靴を脱いで立ち上がった私の姿を見て固まった。


(ん?)


髪の毛を巻いていたのか、コテを持ったまま微動だにしないママを見て、私は段々と不思議に思い始めた。


(何で、何も言ってくれないの?)
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