私の本音は、あなたの為に。
「今日の帰りの学活の直前、佐々木は数人の男子と一緒に優希の事をからかっていました」


「数人!?…宮園、誰か分かるか?」


花恋の最新の情報に、岩下先生は驚いてペンを取り出した。


「はい。…山下と、山村と、山本です」


花恋はすらすらと答えていく。


「あの3人か…。安藤も、大変だったな…」


岩下先生が“あの3人”という言葉を強調させ、下唇を噛んだ。


「はい」


私は、嘘偽りのない答えを返す。



山下、山村、山本の3人の男子は本当に仲が良く、なんと言っても性格の悪さが問題だった。


学校の消火器を壊しかけ、階段を滑り降りた為に上ってきた人に怪我を負わせ、特定の授業には参加しないという荒れっぷり。


他にも、校則違反を何度もやらかして反省文を書いている姿を私は何度も見ている。


それなのに、意外とテストの点数は悪くないという頭の良さ。


そんな彼等はクラスメイトからも怯えられ、『トリプルマウンテン』、略して『トリプル』と呼ばれていた。


学級委員よりも絶対的な権限を持つのは、1番の荒れっぷりを誇る彼等。


いつだって、最終的に何かを決めるのはあの3人だった。
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