私の本音は、あなたの為に。
「佐々木、お前が言ったのか?」


少しして佐々木に向かって尋ねた先生の声は、恐ろしい程冷静で。


「いや、俺じゃなくて…俺はただ…」


「ねえ、嘘つかないで」


私の怒りが再発する。


「佐々木が1番酷い事言ったくせに、何嘘つこうとしてるの?」


「いい加減認めれば?私、聞いてたんだけど」


私の怒りに便乗するかのように、花恋も言い始めた。


そこからは、私と花恋による佐々木への一斉攻撃。


先生は、私達3人の会話の中にからかいの重要な手掛かりがあるとみて、ほとんど私達の言い争いを止めようとはしなかった。



「元はと言えば、お前の兄ちゃんが死んだのが悪いんじゃねえか!」


このままでは自分が悪者になると察した佐々木が、いきなり私に罪をなすりつけてきた。


「ねえねえねえ、黙って聞いてれば酷い事ばっかり…少しは言葉遣いも考えたら?」


花恋がふんと鼻を鳴らす。


「安藤が髪切ったのが悪いんだよ!」


やけくそ混じりの佐々木の言葉に、誰もが呆れる。


「何で人のせいにするかな!?佐々木が悪いんだろ!」


私は、自然と男口調になって言い返していた。


「何だよ、黙っとけよお前ら!」
< 87 / 309 >

この作品をシェア

pagetop