私の本音は、あなたの為に。

｢もう、仲直りしてると思ってたよ｣


まだ花恋が反省していたなんて、驚きだ。


私のその言葉を聞き、花恋は前の様に私に抱きついてきた。


｢良かったあ…！優希、大好き！｣


｢うん、分かってるって｣


私も、花恋の背中に腕を回した。


少しの時間抱き合っていた私達は、自然と笑顔に戻っていた。


また歩き始めた私の背中を追い掛けるように、花恋がまた話し掛ける。


｢さっきから気になってたんだけどさ、何か優希の印象変わったね｣


あ、褒めてるんだよ、多分…、と確信が無いような花恋の言葉に、私は心の中で震え上がった。


(どうしよう、それって私の男っぽい口調の事だよね…)


もっと上手に演技をしなければいけなかったのに。


私は普通の女子を、演じなければいけなかったのに。


少しの油断が、親友を怪しませる様になってしまうだなんて。


｢…どんな風に…？｣


声が震えない様に、体が震えないように細心の注意を払っての質問。


｢んー…何か、男っぽいのかな？優希の髪型が変わったからかもしれないけど…。何か、佐々木と喧嘩してた時の優希の口調も男っぽかったっていうか…｣


隣で歩く花恋の声が、言葉が、私の心を侵食していく。


｢そんな事、無いと思うよ……｣