私の本音は、あなたの為に。

(私は、家の中でしか男になっちゃいけないの。ちょっと間違えただけだから)


そう、頑張って自分に言い聞かせる。


｢そう…なら、大丈夫｣


花恋は自分に言い聞かせるように呟くと、また私に質問を投げ掛けた。


｢あともう1つ気になっていたのがあって…｣


｢うん、何？｣


私は花恋の方を向く。


｢帰りの学活の前、優希が佐々木に言い返してた時にさ、優希、『私だって、本当はこんな髪型、嫌なのに…』って言ってたでしょ？｣


私は頷く。


｢あれ、どういう意味なの？｣


花恋は私の方を向いた。


2人の視線が、交差する。


｢あれは…、本当は、私は髪の毛を肩まで切りたかったの。だけど、髪の毛を切って家に帰った時に、ママにもっと短く切った方が似合うよって言われて、それで…｣


｢あっ、そうだったんだ。ありがとう｣


私の何ともいえない説明に、花恋はすんなりと笑って頷いた。


(良かった…)


秘密を知られなくて済んだ私は、気づかれない様にほっと息を吐き出した。


その時。


｢なーんて、言うと思った？｣


花恋が好奇心溢れる微笑みを私に向けてきた。


｢優希、嘘ばっかりつかないの！私と何年親友でいると思ってるの？優希の嘘なんて、すぐ分かるんだからね｣


｢えっ……｣


私は、そんな花恋に言葉を失う。


どれだけ迫られても、これだけは言えない事なのに。