遅すぎた初恋
と、すかさず彼女が、
「べつに貴方の事をとって食おうなんて思わないわよ。私はただ単に隆俊さんの事が聞きたいだけよ。だってあの人、全然何にも話さないんだもの。何しに来てるのか、さっぱりわからないわ。」

「えっと、隆俊様がですか?本当に何も話さないのですか?」

「ええ、そうよ。こっちが何しに来たんですか?って聞いても、顔を見に来ただけだ。で終わるのよ。じゃあ、見たんならお帰りくださいって言ってやるんだけど、帰らずもじもじしてるだけなの。それが、ほぼ毎日よ。毎日!唐変木以外の何者でもないじゃない。あの人会社でもあーなのかしら?あれじゃ潰れるわよ。」

「隆俊様は、仕事はおできになりますよ。かなりのキレ者ですし、人をよく見てます。見た目神経質に捉えられますが、全く逆で快活な方ですよ。曲った事は大嫌いですし、売られた喧嘩は倍にして返しますしね。社員からも信頼が厚い人です。私も心から尊敬してますよ。」

と、ただただ真剣にゆかり様の目を見て力説した。
「心臓が悪いといっても、そんなの微塵も感じさせない、バイタリティ溢れる方ですよ。でも、そうですねー。どっかで何かを諦めてる感がありますかね。でもそれも、ゆかり様にお会いしてから随分と変わられたと思いますよ。」
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