遅すぎた初恋
「あっと、それはその…」
と、ゆかり様に突っ込まれた隆俊様が今度はしどろもどろで…。こんなにタジタジしている隆俊様を見たのは初めてだ。

「あー焦れったいはね。貴方一体何しに来てるの毎日?私は見合いの話は無かった事にって、お伝えしてますよね?それを、うちの両親丸め込んで、毎日毎日押しかけて来て。ご丁寧に花まで持参しだして。ただ毎日じっと私の顔を見てるだけ。何の拷問か知りませんけど。明日からは来ないで頂けませんか。」
と助手席側からピシャリと言い放った。

「分かってます?この話はお断り…。」
とゆかり様がもう一度念押ししようと口を開いて言葉を出し始めた。だが、それが言い終わらぬうちに隆俊様が、

「それは駄目だ。断るなんて、許さない。駄目だ。」

「はあ?許さない?なんの権限があって…」

「いや、違う…違うんだ。権限はない。権限はないんだが…、すっ好きなんだ。好きなんだ、君の事が。好き過ぎてどうしていいのか分からない。初めてなんだ、こんな気持ち。会いたいんだ、毎日。欲しいんだ。君が。君の心が。」

「ゆかりさん、頼むから、降りてくれないか?いくら相手は榊だと分かっていても、好きな女が男と二人でいるのは気にくわない。」

「ふーん。じゃあ、貴方も後ろに乗ったら?面白いから、このままドライブしましょ。」
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