遅すぎた初恋
「だって、二十歳に成り立ての娘の家によ、見合い断ったのに、押しかけて来て、小一時間ほど睨めっこしてんのよ。私、最初は見合いの席で断ったのが、よっぽどこの人、気に食わなくて腹が立ったから、嫌がらせに来たんだって思ったのよね。隆俊さんって何だかんだ言っても、自分には自身のある方だと思うし、何時も自分から断りまくっているのに、自分が断られるとは思ってなかったから、プライドを傷つけちゃったのねって考えて。私も暇は暇だから、貴方の気がすむまで、罵倒されても受けとめてやろうじゃないって思ってたのよね。」

「でも、なんか様子がおかしいし。いつの間にか花まで持って来るようになったし。いつまで続くんだ?って、この人仕事はって?思ったのよね。だから今日は逃げてやれって思ったところに榊さんがいたのよ。で、貴方が普段どんな人か聞いてみようと思って。嫌がる榊さんに無理やり迫ったのよねー。」

と、楽しそうに話す。

だがら私を巻き込むな。隆俊様から黒い物が出てるじゃないか。
またしても「はあ」としか答えられない。

「ま、いいわ。話しはわかったわ。」
と、ゆかり様は納得したように「じゃ、もう帰りましょう。」と言った。

だが、今度は隆俊様が「いや、まだ帰らせない。」と言い出した。
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