遅すぎた初恋
「なんで?私は、だいたい分かったって言ったじゃない。他に何かあるの?」

「俺は君に気持ちを伝えたんだ。君の気持ちを聞かせてもらいたい。さっき、断るとは言っていたが、断られるのは正直受け入れたくない。でも、君の気持ちは知りたい。いつも、君の射抜くような瞳に見つめられると、タジタジにはなるが、今日は俺の気持ちは伝えれたんだ。覚悟はできている。」

と今まで何故か伝えられなかった思いを言えたせいか、いつもの隆俊様の雰囲気に戻られつつある。

「榊さん、隆俊さんって、こんな感じなの?」
と、また突拍子もなく、私に質問をして来た。

「そうですね。こんな感じですけど、普段はもっと饒舌ですよ。今見ている隆俊様は私も初めて見ましたよ。仕事場では、鬼ですし、商談の席でも淀みなく話すので、周囲は圧倒されますよね。社長としての器も確か。人としての器も確か。まあ何に置いても、右に出る者はいませんよ。あと、女性関係も綺麗ですね。本当にどこに出しても恥ずかしくない優良物件ですよ。」
と、申し上げた。

「ふーん。そうなのね。なるほど。」

「ちょっと待て、なんで榊の意見がここで必要なんだ?そしてなんで、納得するんだ。」

「えー。なんとなく?」とゆかり様は首を傾けてお茶目にテヘッとする。その様子が愛いらしい。

隆俊様も狼狽して「駄目だ。耐えろ。俺。」なんて口走っている。
ゆかり様は、暫し何やら考えて、そして、
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