遅すぎた初恋
「そうね、結婚してあげても良くってよ。」

と、したり顔で言って来る。
「ええ⁈」と隆俊様も私も叫んだ!どこで、そんな結論を出したんだと。

「あら違うの?断った方がいいかしら?」

「いや、いや、いや、いや、断らなくていい!結婚なんて言葉が出るとは思わなかったから、驚いただけだ。頼むから、断るな!」

「ふっふ、面白い方ね。」とゆかり様が笑いながら、隆俊様の顔を覗きこむ。

「睨めっこしている時も、面白いとは思っていたのよね。目が合えば顔を真っ赤にして俯くばかりで、どう思われているのかなんて一目瞭然なのにね。それでも、言葉が欲しいと思ってしまうものだわ。」

そして、スッと隆俊様の頬に手を当てて。ジッと隆俊様を見つめる。
「私、隆俊さんが好きだわ。じゃないと、親をいくら取り込んでいるからって、そんな毎日毎日、相手になんかしないわよ。それに、鼻からお見合いもしないわ。
だけど、女を馬鹿にしていると思っていたのは事実。それなりに皆、隆俊さんのお眼鏡に叶いたいと望んで来てるのに、碌に知りもしないで断るなんて言語道断だわ。私は、貴方に憧れがあっても、自分が我慢するのは嫌なの。思った事を言って受け入れてもらえ無ければ、この人とは縁がなかったって思うから。
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