遅すぎた初恋
弟とゆるゆると話している間に、親族も集まりだした。弟と温室を出てメインホールに向かった。

弟の顔を見て、喜ぶものや顰める人やら様々な人がいた。弟にすらこの態度なのだから、彼女が出て来たらどうなることかと考えを巡らせる。

温室での弟の話しを思い出す。
稀代の悪女ではなかったな…。かといって純粋無垢とも少し違うか?思い込みで罵った事は悪いとは思うが、今さらこのスタンスを変えるつもりはない。そうだ変える訳にはいかない。実際我々一族にとって彼女は分不相応ではあるのだから。

親族一同が揃って弟夫婦の結婚披露とクリスマスパーティーが始まった。
主役の二人は挨拶回りに勤しんでいる、柔かに迎える人もあれば、苦言を呈する人も多々いる。大方の人間は直接声には出さないが彼女を受け入れられないでいるようだ。分かりきった話だ。
一通り挨拶を終えた二人は、今は従兄弟達の餌食になっている。

遠くから眺めている私に、従姉妹の叶が話しかけて来た。
「広兄、よく賛成したわね。絶対賛成なんかしないって思ってたのに。何か弱みでも握られたの?」

チラッとそっちを見る。
「いや、反対はしたが、母が賛成だからね。」

「あー。ゆかり叔母さまねぇ。なるほど星羅さんって叔母さま的にはどストライクじゃん!それに綺麗だしねー。」

「容姿はそこそこじゃないのか?」
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