遅すぎた初恋
何が頑張ってだ。アイツはアホだな。それでも彼女を認める人間が母以外にもいるっていうことか…。

二人は未だ年下の従兄弟達に囲まれて冷やかしを受けている。彼女が笑う。彼女の笑顔のせいなのか、そこだけが一際華やかに見える。
目を逸らそうと思ってもなかなか目が離せない。
私が彼女と…ね…それはない。彼女は弟の妻だ。
それに…例え弟より早く出会っていたとしても決してない。生きている世界が違い過ぎる。
だから、よほどの事がない限り私が彼女に惹かれることなどあるわけがないんだ。

そろそろお開きだな。

もうお開きという雰囲気の中、分家筋の男が酔った勢いで弟夫婦に絡み出した。
「隆次くぅん。なんでえ〜こんな女を〜嫁にしたのかなぁ〜?確かに美人さんだけどぉ〜。生まれがなぁ〜。ねぇ〜みんなが認めてるって思ってるう〜?」

不愉快な言動でも、弟夫婦を快く思わない者達は同調し、面白おかしく事の成り行きを見ている。

黙って聞いている弟夫婦に対して、調子に乗った男は彼女に抱きつき、
「ねぇねぇこの身体が良かったのかなぁ?俺も相手してくれよぉ〜。ああ、お肌がすべすべだね〜綺麗だねぇ〜星羅ちゅわ〜ん。ねぇねぇこの身体で俺のアソコも慰めてよぉ」

と唇をとがらせながらキスを迫る。弟が引き剥がしても、まだ抱きつこうと彼女に近づく、弟が星羅の前に立ちはだかると男は、
「オラぁ!どけよ!このエセ画家が!本家のヤツだからっていいよなぁ。親の拗ねかじって、のほほぉ〜んって生きれてぇ。ちょっと顔がいいからって、可愛い子ちゃんとアハッンウフッン出来てよお〜。俺にもヤらせろっ……」

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