遅すぎた初恋
私も流石に怒りが込み上げてきて、人混みをかき分け止めに入ろうとした瞬間!
度肝を抜いた光景が目前で起こった。男が宙を舞ったのだ。あろう事か投げたのは弟の妻だ。

ダァッン!と床に背中を打ち付けられて放心状態の男の股間の上に、軽く弟の妻が足を乗せる。靴はヒールだ。しかも細めの。周りの男性達は一斉にヒィィッっと息を飲む。

仰向けの男に優しくほほ笑み、すうっと彼女は息を吸って、
「あのね。私の生まれや育ちの悪さはどんなに批判されたって構わない!だって本当の事だからっ!いくらでも罵りなさいよっ!」

「でもねっ!隆次さんの事を悪く言うヤツは許さないっ!彼がこの家の恥にならないようにって、どんだけ頑張って生きてきてんのか、何っにも知らないくせに!好き放題言ってんじゃないわよ!人が大人しくしてれば付け上がってっ!隆次さんを酷く言う人は誰であろうと容赦なく受けて立つわっ!」

そして彼女は、自分の足元で仰向けに倒れている男の股間を靴のつま先でグリグリしながら、
「おじ様ぁ?さっきのはセクハラっていうの知ってますぅ?お酒が入っていても許されないのって分かりますぅ?ご希望通りア・ソ・コ慰めて差し上げますよ。玉ぁ潰されても文句ありませんよねっ?」

そして、おもいっきり大事な所を踏んづけようと足を上げ、男性陣は皆自分のものを押さえ、今から起こる事を想像し目を閉じた。

その時、パチパチパチパチと拍手をしながら母が近づいて来た。
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