遅すぎた初恋
「君に出会えた事は隆次に取って本当に幸せなことだったんだと思う。がんじがらめの世界から飛び出して、彷徨ってた弟を、君が光りある場所に連れて来てくれたのだから。
好きな事を仕事にでき、愛する人を妻に迎え。
確かに、幸せを手に入れたばかりで無念だっただろう。愛する人を残して逝くのは心残りだろう。だけど隆次はしっかりと生きたんだ。前を向いてしっかりと。」
「………。」
「私は君に心から感謝するよ。隆次と出会ってくれて。愛してくれて。光ある場所に導いてくれて。支えてくれて。本当にありがとう。君は隆次の分もしっかり生きるんだ。」
と、彼女に囁きかける。
「ふっぅ……ぅ…ぅ。」
彼女はむせび泣く。
「泣きなさい。泣いていいんだ。ちゃんと泣くんだ。泣いて。泣いて。好きなだけ泣けばいい。」
次の日、個展等の片付けはスタッフ達に任せて。
私と星羅は隆次の遺体と共にニューヨークを後にした。
憔悴仕切っていた星羅だったがそれでも母と共に気丈に振る舞い、葬儀も無事に終わった。
予想はしていたが、その後数日が経って、星羅を今後どうするのか?という話題が親族から持ち上がり、後日話し合いがもたれた。
母はもちろん手元に置いておくと主張したが、大多数の親族が、星羅の将来を考えても高柳家からは出した方がいいだろうという事で、母が泣く泣く折れた形となった。
私は本宅の書斎に星羅を呼んで、親族会議の結果を告げた。
「わかりました。私もそうしようと思っていたので、マスターに相談してました。家が決まり次第ここを出ます。」
好きな事を仕事にでき、愛する人を妻に迎え。
確かに、幸せを手に入れたばかりで無念だっただろう。愛する人を残して逝くのは心残りだろう。だけど隆次はしっかりと生きたんだ。前を向いてしっかりと。」
「………。」
「私は君に心から感謝するよ。隆次と出会ってくれて。愛してくれて。光ある場所に導いてくれて。支えてくれて。本当にありがとう。君は隆次の分もしっかり生きるんだ。」
と、彼女に囁きかける。
「ふっぅ……ぅ…ぅ。」
彼女はむせび泣く。
「泣きなさい。泣いていいんだ。ちゃんと泣くんだ。泣いて。泣いて。好きなだけ泣けばいい。」
次の日、個展等の片付けはスタッフ達に任せて。
私と星羅は隆次の遺体と共にニューヨークを後にした。
憔悴仕切っていた星羅だったがそれでも母と共に気丈に振る舞い、葬儀も無事に終わった。
予想はしていたが、その後数日が経って、星羅を今後どうするのか?という話題が親族から持ち上がり、後日話し合いがもたれた。
母はもちろん手元に置いておくと主張したが、大多数の親族が、星羅の将来を考えても高柳家からは出した方がいいだろうという事で、母が泣く泣く折れた形となった。
私は本宅の書斎に星羅を呼んで、親族会議の結果を告げた。
「わかりました。私もそうしようと思っていたので、マスターに相談してました。家が決まり次第ここを出ます。」