遅すぎた初恋
「はっはっ。そうだな。皆は知ってはいるんだろうけどね。私からは誰にも何も言ってないから、話題にすら出ないんじゃないか?マニアックだしね。
それにここには誰も入れたことはない。
むやみやたらに触られても困るしね。」

「なるほど。これだけあれば、そうでしょうねえ。あっマスターが出した本も沢山ある。もしかして、前から知ってたんですか?」

「海堂直道さんだね。有名な方だし。
一応これでも熱烈なファンだ。写真集から本から色々そこに揃えてあるだろ?」

「ええぇぇ!だったらお店に来た事ありますか?結構な確率で会えますよ。ファンの方はよく来られますよ。」

「いや、それはない。多分そういう態では伺うことはないと思う。この先も。」

「何故ですか?」

「何故だろう、考えたことはないな。強いて言うなら、気後れしそうだからかな。」

「気後れですか?自信ありげなお義兄さんが?いつも偉そうに威張って、人を萎縮させてるお義兄さんが?暴君が?」

「………。」
「君は…私に喧嘩を売っているのか?」

「いえ、売ってません。」
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