遅すぎた初恋
「いえ、すみません。少し海堂さんに用があってお伺いしたのですが?お忙しいところ申し訳ありません」とカウンターに近づき名刺を渡す。

「高柳建設…代表取締役…。高柳?もしかして隆次のお兄さん?」

「そうです。兄の広高と申します。ご挨拶が大変遅れて申し訳ありません。弟夫婦が色々とお世話になりご迷惑をお掛けしました。本当に良くして頂いてありがとうございます。こちらで結婚披露の席を設けて頂いたそうで、本当に感謝しております。葬儀にも来て頂いていたそうで、ご挨拶もせずに大変ご無礼を致しました。」

「いえいえ、頭をお上げください。大企業の社長さんにそんな低姿勢でこられたら、なんだかこそばゆい気がしますよ。で、要件とは?」

「実は星羅さんの事でお伺いしました。」

「ああ、じゃあ、上で話しましょう。」

と二階の自宅に案内をされた。客間に通され、海堂さんの奥さんも一緒に話しを聞くことになった。

「で、社長さん、星羅が何か?」

「ええ、そうですね。その前にその社長…と呼ばれるのはちょっと…勘弁して頂けますか。海堂さんから呼ばれてると…なんとも面映ゆいと言いますか…。。まだまだ若輩者なので…。」
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