遅すぎた初恋
「えっ!!」ご夫妻の顔が強張る。

「申し訳ありません。少々強引なやり方ですが、彼女は既に私の家に移らせました。
なので、こちらでのお仕事は当分控えさせて頂きたく、了承を得にお伺いしたのです。」

私の言葉で、先程までの和気あいあいとした雰囲気が一変した。海堂さんがみるみる怒気を露わに、
「そんな…。そんな…馬鹿な話しはないだろっ!そんな勝手な話しはぁ…!」

「星羅は既に君らとは縁を切っている筈だ!君らだって、引き止める訳でもなくサッサと追い出したじゃないかっ!それを……子供が出来たからって…っあまりにも身勝手すぎやしないかっ‼︎」

「そうよっ!勝手すぎだわ‼︎そんなの…そんなの誘拐と一緒じゃないっ!絶対許しませんからねっ‼︎星羅を返してちょうだい。面倒は私達で見ますっ‼︎」

怒りはもっともだ、私は冷静に話す。

「お怒りはごもっともです。それに関してはなんの反論もございません。
ですが、彼女が身ごもった子は隆次の子です。そして高柳家の血を引く者です。
このままもし、私が結婚しなければ、子をなさなければ、自ずと隆次の子が跡取りになります。
だったらこちらで面倒を見るのが当たり前だと私は判断しました。」
< 43 / 115 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop