遅すぎた初恋
「だから、私も、星羅様に。「坊ちゃんのやり方は私も酷いとは思います。星羅様が御怒りになるのも最もですが、それでも坊ちゃんは本当に星羅様を気にかけていらっしゃるのですよ。
お仕事の合間に、星羅様のご様子を気にしてお電話を何回もかけてらっしゃいますし。
帰ってきても一睡もせず、星羅様とお話しされて、そのまま出勤される、倒れない方がおかしいぐらいです。
無理を承知で申し上げますが、星羅様も今はどうか、お気持ちを鎮めて、坊ちゃんが休息出来る環境を作って頂けませんか?」」
と、ここぞとばかりに星羅に助言してくれたらしい。

お二人共頑固で困ると、トキさんにも榊にも言われ、いい機会だからゆっくり休んで下さいね。とかなり強めに言われたので、仕事は休む事にして久々のゆっくりとした睡眠を取ることが出来た。

後日の榊談では私が熱を出した事は鬼の撹乱だと周囲はどよめいていたらしい。社員が社長も人間で良かったですと安堵したそうだ。

私は腹立たしかったが、榊は「まあ、社長お一人居なくっても回るようにちゃんと出来てますからご心配なく。
私は広高さんが、本当に段々と人間の感情を取り戻して行っているようで喜ばしい限りです。」と満面の笑みを浮かべて言った。
聞きづてならないなと、思いはしたが、榊に言い返しても面倒くさいだけなので、黙っておいた。
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