遅すぎた初恋
焦って体を起こし、胡座をかいた状態で星羅を抱えこんで「おい!」と何度か声を掛けて揺さぶる。
と、「ムフフッ」と彼女が笑いだし「へへへっ、引っかかったぁ」と言ってムクッと起き上がって私の前に座り直し、したり顔を向けて笑ってくるので、ビシっと青筋を立てて、「この馬鹿、焦るだろうが!」と彼女の鼻を思いっ切り摘んでやった。
涙目になりながら「痛い!痛い!ごめんなさい!もうしませんから!」と言ってきたので、離してやる。

そうすると、何を思ったのか彼女がこてんっと私の胡座状態の足を枕がわりにして、ねっ転がってきた。
そして私の顔を下から見上げて「綺麗」と呟きそっと髪に触れようと手を伸ばして来る。
彼女から目を離せずにされるがままにしていると、私の髪についていた銀杏の葉を取って。
「ねっ綺麗」と私に微笑んで見せてくる。

そのなんとも言えない妖艶さに当てられ、危うく下半身が反応しそうになったので、「もう行くぞっ」と乱暴に頭をどかして立ち上がった。

「あっ待って下さい。私も写真撮りたいです。」と何枚か撮って戻って来た。

戻る道中、
「こんな綺麗な所があったとは驚きです。全然知らなかったですよ。もう少し暖かい時期なら、本なんか持って行ってのほほんって出来ますね。
でも本当に土地が広いんですね、赤ちゃん生まれたら、探索に行ってもいいかもしれませんね。
お義兄さんも一緒に行きましょう。」
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