遅すぎた初恋
クリスマス再び
例年のごとく、12月に入ると高柳家はクリスマスパーティーの準備でバタバタし始める。星羅のお腹も数ヶ月を過ぎると一気に大きくなって来た。

赤ちゃんは順調に育っているようで、性別も聞けば教えてくれるらしいが、生まれてみてからのお楽しみと、言って星羅は聞いてないようだ。
「動いた!」発言では、母が歓喜を叫んでお腹から離れなかったらしい。
これから臨月に近づくにつれ定期検診の間隔も狭まってくるし、何かあった時はやはり近い方が良いという事で、最初に通っていたクリニックから邸に近い病院に変えた。

なんといっても、高柳家の若奥さんという事で手厚くされているらしく、星羅は毎度気後れしているようだ。
都内に検診がてらには、よく海堂さん宅に寄っていたが、そうなるとなかなか会えなくなる事を危惧して、母が海堂さん夫妻にもなるべく気兼ねなく来てもらいたいという事で、元は隆次達が住んでいた別棟を開放して、時々泊まって行ってもらっているらしい。

羨ましい事に、母が海堂さん達と仲良くなっている。そう榊から報告を受けながら地団駄を踏んでいると、「さすがは、ゆかり様ですよね。一奥様にするにはもったいない才覚の方です。」と褒めそやすので、全く面白くない。
それと、私自身も忙しくない時は星羅の送り迎えに託けて海堂さん宅に訪問させていたのに。それが儚くもなくなってしまった。
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